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ロンレディコラム第1回「ITの活用」

ITの活用。当たり前にも感じるこの言葉が、かつてないほどの意味を持つようになっています。

デジタルトランスフォーメーションの浸透は、人に依存していた業務プロセスにITを活用することで、人力の量と質への依存を減らし、ビジネス上の判断と実行のスピードを格段に向上させます。例をあげれば、センサー、データ分析、人工知能(AI)の進化は、社会の中の多くの事象をパターン分析したうえで、将来起こりうる事象の予測、取るべき対策の提案、実行までをも自動化することを可能にします。

そして労働人口の減少を起因とする、働き方改革の推進は、ますます人に依存した定型業務の削減を促進し、時間、場所、性別、年齢、身体特性にとらわれない多様で知的な労働力の確保を企業は目指す事になります。在宅勤務はもちろんのこと、人力に依存したプロセスをITで自動化することで従業員を知的労働に集約し、少ない労働力で企業競争力を高める試みが進んでいくでしょう。

クラウドを中心に技術的な環境は整ってきました。しかし残念ながら日本国内では、平成が終わろうとする現在まだ、企業によるクラウド活用が進んでいるとはいえない状況があります。旧来型のビジネス構造がその理由です。

現在の技術革新の多くはクラウドを中心に進んでいます。しかし日本のIT業界は、意図的と言っていいほど長くクラウドへの移行を無視してきました。それはIT業界に根付くモノとサービスを一体化させた収益構造と、クラウドが相容れないものだったからです。

ハードやソフトといったモノの粗利と、導入や保守のサービス提供による利益によって長年IT業界は成り立っています。しかしクラウドは、エンドユーザーと世界規模のクラウド事業者が提供するサービスを直接つなぎ、その間に物流を必要としません。これは儲からないと考えた日本のIT業界は、様々な手法でエンドユーザーのクラウド移行を遅らせました。曰く、セキュリティに不安がある。曰く、5年で考えればクラウドは高すぎる。曰く、SLAが低すぎる。曰く、AzureやAWSはコンペだから勧められない。

知見があればウソや誇張であると見抜けるのですが、優秀なIT人材を自前で育ててこなかった多くのエンドユーザーがこの流れに乗ってしまいました。クラウドが世に出て10年近くが経った今になってやっと、このままではまずいと気づいたエンドユーザー側の意識から、クラウド移行は進んでいっていますが、日本のクラウド移行は致命的に遅れました。結果、クラウド周辺の多くの技術革新に日本の企業は乗り遅れ、クラウド移行が進まないため、それを支えるネットワークやストレージなどのプラットフォームも旧態依然のままです。

この遅れは、エンドユーザー側の都合ではなく日本のIT業界の都合によって、作り出されたものです。このことからエンドユーザーが学ぶべきことは、自社の経営課題に寄り添う優秀なIT人材を自社で保持すべきだ、ということです。その人材が、ITシステムのデザインとプロジェクトマネージャを担い、設定作業やコーディングなどの下流工程を外部に発注する仕組みを作り、企業の経営に貢献する。私たちはその未来をお客様と共有し、現状を分析した上で段階を踏んで必要な施策をアドバイス、実行させていただきます。そして最終的に、お客様が私たちからも自律し、自らIT活用によって企業競争力を向上させていく仕組みを維持できることが私達の願いです。